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DPSクリーンベンチユニット
弊社在宅医療事業部長・岡安浩が、調剤薬局ジャーナル編集長の山本武道氏と共同執筆した
「かかりつけ薬局のための 在宅医療と無菌調剤室導入のすすめ」を上梓いたしました。
本書では、今の在宅医療の動向や、地域ケアシステムへの参画に関わる実践的な解説をご紹介するとともに、 調剤薬局の最前線レポートや、弊社の取り組みをまとめた内容となっております。
【著書】岡安浩・山本武道 共著
【定価】本体2,500円+消費税
※本書は、調剤薬局ジャーナル 2013年6月号~2018年11月号までの連載を、加筆・修正したものになっております。
出典元:(株)ヘルスビジネスマガジン社
なお、本書は書店では販売しておりませんので、ご購入のお申込みは (株)ヘルスケアビジネスマガジン社ホームページにてお願い致します。
今まで病院のベッドに余裕のある地方では、患者を取り巻く医療関係者から在宅医療よりも入院を勧められ、家族は在宅医療よりも入院を希望される傾向が強くありました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見えない現在、病院での家族の面会制限もあり「最後は多くの家族・友人と過ごしたい」との要望もあり在宅医療が増えています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って収益の減少もあり大都市圏の病院・保険薬局では薬剤師の採用が減少し、医師・薬剤師のUターン現象が始まってきております。そのため地方の保険薬局・ドラッグストア・チェーン薬局の薬剤師不足も解消されつつあります。オンライン診療、オンライン服薬指導も始まり「一気通貫の医療体制」が法的に整備されたことが、在宅医療が増えた要因であることは言うまでもありません。
「患者は、病院ではなく家におり、在宅の要望はある」
「医師・薬剤師は、Uターンによりスタッフが確保できてきた」
そのため地方では『2021年は在宅医療元年』であるとささやかれております。もちろん都市部でも2021年が在宅医療元年であることに変わりありません。
(中略)
「最も強い者がいき延びるのではなく、最も賢い物が生き延びるのではない。唯一生き延びることができるのは、変化できるものである。」これはダーウィンの進化論、最近ではいろいろな解釈が出てきておりますが、この名言を素直に薬局経営に当てはめれば、「生き延びるためには変化に対応しないとダメ」ということです。
世間では、2021年8月1日に施行される改正薬機法により保険薬局は、❝健康サポート薬局❞ ❝地域連携薬局❞ ❝専門医療機関連携薬局❞の『薬局三分類の時代』になると言われております。
そうでしょうか?❝保険薬局をやめて保険に縛られない薬局❞ ❝薬局を完全にやめる薬局❞も増え、2021年は『薬局五分類の時代』かもしれません。
コロナ禍による環境の変化に対し、いち早く幅広い在宅医療に対応されることをおすすめいたします。
Market analysis Report 2021 Vol.1より抜粋
※参考として2018年当時の記事を掲載しております。
【概要】
2018年度の診療報酬改定に関しては、既に多くのメディアが取り上げている。診療報酬は2年に1度、介護報酬は3年に1度、改定されるため、診療報酬と介護報酬の同時改定は6年ぶりとなる。そうした状況の中、今回の改定の特徴はまさに「在宅医療の充実」と「医療と介護連携強化」であった。今回の改正で業界は大きく動くのか?無菌調剤室や無菌調製実習会への問い合わせが急増している。
診療報酬改定で見えてきた保険薬局の進むべき道は?
2018年度の診療報酬改定に関しては、既に多くのメディアが取り上げている。診療報酬は2年に1度、介護報酬は3年に1度、改定されるため、診療報酬と介護報酬の同時改定は6年ぶりとなる。そうした状況の中、今回の改定の特徴はまさに「在宅医療の充実」と「医療と介護連携強化」であった。
本誌は10年以上、保険薬局の在宅医療参入を切り口に定点観測を行ってきた。このシリーズの連載を開始した約10年前には、在宅医療に本格参入した保険薬局はほとんどなかった。無菌調剤室を設置している薬局もごくわずかだった。我々は取材を通して、保険薬局は今後、在宅医療分野のチーム医療の中で重要な役割を持つことになる。そして保険薬局が進むべき道は在宅医療への参入に他ならないと主張してきた。
そしてこの予測は今回の診療報酬改定でまた現実のものとなってきたと考えている。
診療報酬改定に込められた強いメッセージとは?
今回の診療報酬改定において、保険薬局で最も大きな話題となったのは、大型門前薬局の調剤基本料の引き下げであった。だが取材の中では、今回の引き下げにより結果として患者にとっては、受診した病院から近くて、しかも診療報酬が安い門前薬局の利用にメリットを感じ、利用が促進されるのではないかとする意見もあり、今後の動向に注目してみたい。
だが本当のポイントはそこではない。2025年までに人口1万人に対して1箇所の設置をめざす、健康サポート薬局の推進を後押しする、「かかりつけ薬剤師の評価」や「薬局における対人業務の評価の充実」「地域医療に貢献する薬局の評価」などに関して改定こそが今回の本当のポイントだ。
そして改定内容を総合的に分析すると、厚生労働省のひとつのメッセージが読み取れる。それは、健康サポート薬局を推進し、またその役割を薬剤師に果たしてもらうため、処方箋を選ぶこと、つまりは患者を選んでいる現状を是正したいというメッセージだ。
健康サポート薬局になると、かかりつけ薬剤師・薬局としての3つの基本機能(①服薬情報の一元化・継続的把握、②24時間対応・在宅対応、③医療機関等との連携)の他に要指導医薬品等の供給機能や助言体制、健康相談受付、受診の勧奨、関係医療機関の紹介などの国民の病気の予防や健康サポートへの貢献が求められる。すなわち自分の薬局の処方箋と持参する患者へのサービスに限定するのではなく、地域全体のことを考える必要があり、さらに医療だけでなく介護や他の職種とも連携することが求められる。
「それでは健康サポート薬局としての機能を十分に果たすことができないではないか」そうしたメッセージが今回の点数改正にも色濃く反映されている。尚、現在のサポート薬局数の788薬局、目標の15,000薬局の約5%である。
在宅医療への移行を推進するということは、医療機関の薬剤部の機能を保険薬局が担い、地域への貢献を行うことが必要である。そうした社会的なインフラを整備するため、今回の改正では「地域支援体制加算」の新設として明確化された。
処方箋を選ばない、つまりは患者を選ばない、医療機関の薬剤部の役割を地域で担うということは、つまりは健康サポート薬局は今後、無菌調剤を行うべきだという必然に辿り着く。
事実、メーカーの話では無菌調剤室の問い合わせが今回の改正の骨子が明らかになるにつれ、顕著に増えているようだ。これまでは情報収集のための問い合わせだったものが、最近は無菌調剤室の設置を前提とした問い合わせへと変わってきている。
あるメーカーは、地方で開催された研究会に併設された展示会において、88件もの無菌調剤室やクリーンベンチに関する問い合わせを受けた。これは今までにない状況である。今回の点数改正で多くの保険薬局はいよいよ動きはじめたと言えるのではないだろうか?
その一方でチェーン展開をしている保険薬局の場合、健康サポート薬局の届出書類を他の店舗でも再利用することから、本当の意味で地域に即していない健康サポート薬局が量産される懸念もある。この制度の下で重要なことは差別化ではないだろうか?
無菌調製実習の問い合わせ急増の背景
メーカーに対して無菌調剤室やクリーンベンチの問い合わせが急増する中で、日科ミクロン社が主催する「無菌調製実習会」が注目を集めはじめている。現在、日本には1000店舗を超える保険薬局に無菌調剤室やクリーンベンチが設置されているが、その半数以上の設置工事を行ってるのが日科ミクロン社。同社ではかねてより自社内にモデル無菌調剤室や研修センターをかまえ定期的に無菌調製実習会の実施などソフト面のサービス提供に力を入れている。そしてこの実習会も今回の改正を受けて問い合わせが急増していると言う。
同社では2015年からおよそ3ヶ月に1回、埼玉県三郷市にある同社にある無菌調製実習センターで無菌調製実習が行われている。受講者はすでに120名を突破。沖縄から北海道まで全国から参加している。参加者からの評価も非常に高い。
この「無菌調製実習会」は、無菌調剤の手技を一から学びスキルアップしたい。麻薬注入ポンプの使用方法を学びたい。在宅業務の運営方法、営業方法を学び在宅医療参入を確実に成功に導きたい。そうした研修の場がほしいというクライアントの声で始めたが、現在ではまだ無菌調剤室を設置していない保険薬局が、計画を具体化する目的で参加するケースも増えていた。その状況が今回の診療報酬改定で加速したと言う。
この「無菌調製実習会」では無菌調剤の基本テクニックの修得はもちろん、実習会後の懇親会で在宅業務の経験ある講師陣と気軽に相談することもできることも評価が高い理由である。
現在までにベーシックコースを中心に開催されてきたが、現在は注射処方箋の考え方、小児在宅への対応、抗がん薬調製の実習を中心としたスタンダードコースの要望が増加している。
今まで無菌調製実習会を埼玉県三郷市で実施してきたが西日本エリアの保険薬局の方々からの要望もあり、昨年から大阪市内でも開催。今後は定期的な開催を計画している。
(※現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止しています)
また、同社が研修で用いている「無菌調製実習センター」は研修が実施されていない時には常設のモデル無菌調剤室として内覧を個別に受け付けている。
(※オンライン見学会も実施中)
MMJ 2018年4月号より抜粋
実は大きく広がっている格差
本取材記事の内容に関しては否定的な意見がなかった訳ではない。初期にはそもそも論として「保険薬局の在宅医療参入に対して後ろ向き・否定的な意見や懐疑的な意見」も少なくなかった。
しかし、その一方で既報の通り大手の保険薬局チェーンや、地域の有力な保険薬局などを中心に在宅医療参入に向け、本格的に無菌調剤室を整備し、地域の医療機関との積極的な関係構築を進めている事例が続々と寄せられている。
実は今、保険薬局における格差がきわめて大きくなりつつあるのだ。
確かに売上などの成果の面からは、在宅医療に参入した保険薬局と、そうではない保険薬局の間に大きな差はないかもしれない。事実、成功事例とまで言い切れるほどの実績は見えてこない。しかし、既に在宅医療参入に向けてしっかりと舵をきった保険薬局が今、蓄え続けている経験資産は実は大きな資産となりつつある。
この経験資産は、それを蓄えたものにとっては将来、圧倒的な強みとなり、蓄えてこなかったものにとっては先行者に容易に追いつくことができず大きな弱みとなることが少なくない。
マーケティングでも参入順位はその後の市場シェアを最も左右するきわめて重要なファクターだと言われている。一般論であるが商品力やマーケティング力が均衡し自分よりひとつ前に参入した会社が約50%のシェアがある場合、後発は自分よりもひとつ前に参入した会社の約50%しかシェアが取れないと言われている。例えば4社目に参入するとわずか6.25%しかシェアを獲得できないと言われている。
進むべき方向性に誤りがなく、いずれ参入することになると考えるのであれば、その先の答えは(競合他社よりも)早期に参入し、しっかりと時間を掛けて経験資産を蓄えておくべきだという事である。完全に広がってしまった格差は、容易には取り戻すことはできない。
MMJ 2016年9月5日号より抜粋